有明先生と瑞穂さん
「私は有明先生とどうにかなりたいとか考えてませんから。
それに・・・先生彼女いるって言ってたし・・・・・・」


「あら、そんなの関係ないわよ!」

「は・・・・・・?」


(か、関係ない?!)


押さえていた瑞穂の苛立ちはまた一気に上昇する。



「か、か、関係ないことないんじゃない・・・ですかねぇ?」

「関係ないわよぉ。
だって好きなんだもの・・・。
彼女がいるかいないかくらいで変わっちゃうような軽い気持ちなら好きにはならないわ」


「そ、それは・・・そうですけど・・・」


言うことは一理ある。

だとしたら、


「やっぱり・・・あの時の夜の行動はわざと・・・?」


彼女がいるのに構わず強引なアプローチを掛けているというのか。


「それはそうよ!だってどうしても好きなんだもの」


「・・・でもそういう行動って有明先生の彼女に悪いと思いませんか・・・?」


自分のことなのにこういうことを言う自分は性格が悪いだろうか。

そうだとしても自分が小浜の立場なら、彼女がいる有明に対してそこまでのことはできない。


性格の相違だろうか――。




「好きって言うくらいなんだから、私は片思いで終わらせるつもりはないわ。
顔も知らない彼女のことまで考えられない」
「・・・・・・」



もしかしたら有馬や深江、口之津あたりも同じ考えかもしれない。

それは聞いてみなければわからないことだが、瑞穂にとってはどうしても納得できなかった。



(納得いかないのは、彼女が私だから・・・?)


静かに沸くいらつきに、ペンを持つ手に力が入る。
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