有明先生と瑞穂さん
――次の日の月曜日。



授業も終わり、部活で図書室にいる瑞穂はソワソワしながらある方向を気にしていた。


瑞穂の目線の先には何やら話をする図書部顧問の愛野先生と有明先生だ。

どうやら仕事の話をしているらしい。


(そういえば昨日ウッカリ聞き流しちゃったけど・・・有明先生すごいこと言ってなかったっけ・・・?)



そう、愛野先生が二人が同じマンションに住んでいることを知ってるとかなんとか――。


(なんで・・・愛野先生?)



じーっと二人の様子を見つめていると、話が終わりこちらを向いた有明と丁度目が合い瑞穂は慌ててそらした。


「どうしたの?瑞穂さん」

「えっ、いやっ・・・」


そんな瑞穂に有明は避けることなく近寄る。


昨日の一件があり、揉めたというのに有明先生の危機感のなさは相変わらずだ。


「むしろ下手に避けたりする方が不自然だよ瑞穂さん」


そんな瑞穂の考えを読んで有明は苦笑する。
それでも有明のようにうまくできないのだから、なるべく学校では接触しないことに越したことはない。


「あの・・・昨日言ってた愛野先生の・・・本当なんですか?」

「ああ、同じマンションだって知ってるってこと?」

「はい・・・」

「うんそうだよ。
あの頃はまだ瑞穂さんに特別な感情はなかったから・・・。
でも校長先生が知ってるっていうのは嘘なんだよね」

「はあっ?!」

「いちいち校長先生も言わない限りそこまで把握はしないよ。
でも『上は知ってる』って印象づけるだけでも違うと思って・・・そうだ、いいこと思いついた」

「は?え?!いいこと?!え、何?!」


どれが嘘で本当はどれで――



混乱する瑞穂をよそに有明は愛野先生を呼んだ。


「愛野先生!」

「あらどうしました?」
< 1,106 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop