有明先生と瑞穂さん
「あの子、私も詳しくは知らないんだけど・・・高校の頃は厄介な噂があってね・・・。
気をつけておいた方がいいわよ」

「厄介・・・といえば厄介ですね。
なんというか・・・粘着質なところがあるというか・・・」

「粘着質ねェ・・・。それもあるけど・・・・・・」

「?」


意味ありげな言葉に瑞穂が首をかしげると、突然国見はハッと何かに気づいて慌てて携帯を開いた。




「そうだったわ。アタシ、タケルも学校に来るように呼んでたんだった。
あいつも今日はオフなのよー」

「はああっ?!」


そこにカランカランと出入り口の開く音がして騒がしい人物が入ってくる。


「あー!二人ともいたいたー!
も~、置いていくなよォ~!
そういえばさっき学校で高校の頃の後輩の子に会ってさ~、俺思わず『化粧濃くなったね』って言っちゃったよォ~~」


「ギャーーーッ!!
ホンットにこの二人はぁーーー!!」



滅多に話したこともないようなよく知らない後輩に、よくそこまで失礼なことを言えるものだと思ったが、

まあ、この二人の性格だし今更だな・・・と瑞穂はため息をついた。



***



夕方6時過ぎ――


有明は仕事が終わり帰宅すべく駐車場へと向かった。

いつもここでネクタイを軽く緩め、一日の仕事が終わったと実感する。



「有明先生」



駐車場では電車で帰っているはずの小浜が有明の車の前で待っていた。


(ああ・・・またか)


小浜の顔を見るなり、また疲労のため息が口からどっとこぼれた。



「どうしました?・・・お送りすることはできませんよ」

「はい、結構です・・・」
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