有明先生と瑞穂さん
学校での昼休み――


教室ではいつものメンバーで昼食を取っていた。

しかしそこに瑞穂の姿はない。



「おい祥子」


その教室に当たり前のようにズカズカと入ってくる赤頭、口之津。


「何よ。学校ではあんまり話しかけないでよ、アンタ目立つんだから」

同じくよく目立つ有馬は可愛気のない返事をした。


「金貸して」

「うわ~・・・口之津先生最低。やっぱりそういう人だったんだぁ~」

「俺も見損なったよ」


深江と布津が軽蔑の眼差しで口之津を見る。


「バッカ、ちげーよ!
今日財布忘れてよー、昼メシ買う金ねーんだわ。
有明に借りようと思ったんだけどバタバタしてるみたいで捕まらなくてよぉ」

「有明先生にお金借りようとしてんじゃないわよっ!
ホラッ!!千円でいい?!」

有馬は乱暴に財布から千円札を取り出し口之津に押し付けた。


「わりーな、明日返すわ。
ところで晴は休みか?
見当たらないみたいだけど」

「ああ、なんか部活の用で図書室に呼び出されてるみたいよー」

「ふーん」






***



グルグルグォオオオ・・・


「はあ・・・お腹すいた・・・」



図書室で一人、瑞穂は本を整理しながらお腹で盛大なメロディを奏でていた。お腹が減りすぎて力が出ない瑞穂の周りには重くて古い本が散乱している。


他の先生に頼まれ必要な本を探しに来たのはよかったのだが、その本を勢いよく引き抜いた時本棚ごと崩れ賭け、周りの本まで飛び出して散乱してしまったのだ。

もちろんそのままで帰るわけにもいかず、昼休み返上で一人で本を片付けていた。


(アホだ私・・・)
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