有明先生と瑞穂さん
弁当なら持ってきている。
カウンターに置いてあるのだが・・・先に食べてしまおうか・・・

しかし本を整理するだけでも昼休み中に終わるかわからないのに――



散らばった本をまたぎフラフラとカウンターに向かった時、図書室のドアが開かれた。


「!」

「ふふっ、まだここにいた」




――小浜だ。




「こ、こんにちは・・・」


小浜の言葉から、自分にわざわざ会いに来たのだと理解する。


「丁度よかったわ。二人だけでお話したいと思ってたの」

「・・・・・・」


緊張する瑞穂に小浜はゆっくり歩み寄った。


「あーっ、えっと私・・・本片付けなきゃいけないんで、その・・・」

「片付けながらでいいわよ」


瑞穂が床の本をかき集めると小浜も隣にしゃがみこんで手伝いだした。


(やっぱり・・・いい人・・・?)


有明の話を聞いて安心はしたのだが、一度疑われたという事実がどう接するべきか瑞穂を悩ませた。




「この間はごめんなさいね」

「えっ・・・」


「私すごく驚いちゃって・・・二人を責めるようなことを言っちゃって」


小浜は瑞穂の顔を見ると、申し訳なさそうに微笑んだ。

その顔はやはり女から見ても、かわいい。


「あの後も有明先生にしつこく失礼なこと言っちゃったわ・・・。
でもね、私有明先生に振られちゃったけど、それでも好きなの。
だからカッとなってあんなことを・・・」

「私もそういう気持ちはわかりますっ」


あまりにも申し訳なさそうにする姿を見ていられなくなって瑞穂は小浜の話を遮った。
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