有明先生と瑞穂さん
「瑞穂さんが有明先生と付き合ってるってこと、お友達が知ったらどう思うかしらね」


「!」


――これは脅しだ。



「どうしてそういうこと、言うんですか」


手のひらにジワリとにじむ汗を握り締める。



――何を言われても付き合っていえる事実を認めるつもりはない。



「瑞穂さんと布津君が付き合ってるってことが嘘だったってことも、ストラップが同じだってことも――・・・

何を言っても二人とも絶対認めないのね。

理由は・・・わかるけれど」



――もうごまかすことはできないとわかっていても。




「有明先生は言ったわ。
自分がどうなっても構わないけれど、貴女に害が及ぶようなことがあれば許さないって・・・。
今まで見たことのないような怖い顔をして言うものだから少し驚いたわ。

でもそれを聞いてもっと感じたわ。





――つくづく貴女には嫌気がさす」



「・・・・・・っ」



ゾッとして体をのけぞると、無理に詰め込んだ本が本棚から数冊バサバサと落ちた。

しかし視線をはずすことすら許されず、瑞穂は動けない。



――――怖い。




「ねえ・・・・・・

貴女のお友達に・・・二人のことを話したら信じてくれるかしら・・・?」

「・・・・・・」


小浜がゆっくりと一歩、詰め寄る。




「私の言うことなんて信じてくれないかもしれないわね・・・。

それでも・・・・・・もしかしたら・・・・・・。


ねえ瑞穂さん、


お友達に



バレたくないわよね――――?」



一歩一歩、ゆっくりと間を詰められて


気づけばお互い息がかかるほどの距離。



瑞穂の視界には小浜の冷たい目しか見えず、逃げることもできない――。
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