有明先生と瑞穂さん
小浜は口の端を上げて笑う。


瑞穂の表情が変わったのを見逃さなかった。



「だって、そうじゃない?

お友達なのに、隠し事をして・・・

お友達が好きな人と付き合ってるのに、それを黙って・・・

お友達の口から有明先生の話が出る時ってどう思ってた?

『私だけは知ってる』

そう思わなかった?



ねえ、優越感に――浸らなかった――?」



小浜の言葉一つ一つがまるで響くように脳に直接届いて、耳を塞ぎたくなる。


足がガクガクと振るえ出した。



「わ・・・私・・・・・・そんな・・・」




バン!!



「!!」

「!!」


突然荒々しく開かれたドアに驚いて、二人は音のした方を向いた。




「まだここにいたのか!晴!」

「・・・・・・っ口之津先生!」


その姿にはっと大きく息を吸う。


ようやく呼吸ができたような気がして、肩の力が抜けた。


ズカズカと入ってきた口之津は小浜の存在に気づいて

「ん?何かしてたんスか?」

と二人の顔を交互に見比べた。


「ええ、実は・・・」

「あーっ!ここの片づけを手伝ってもらってたんです!!
口之津先生こそどうしたんですか?!
私に用ですか?!」


小浜の言葉をさえぎって必死に早口で話せば口之津は気にする様子もなく話し始めた。


「祥子のヤツが晴が遅いっつって、探して来いってパシられたんだよ!
おかげで昼休み丸つぶれじゃねーか!」

「えっ、そうだったんですか・・・すみません」


瑞穂が謝ると口之津はベシッと軽く頭を叩いた。
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