有明先生と瑞穂さん
「まあいい、行くぞ!」

「あ、まだ本がっ・・・」


強引に引かれる手を止めて足元に散らばった本に目をやると、口之津がため息をついてそれを拾い上げ乱暴に本棚に詰める。


「ったく、どんくせーな。何やってんだ。
こんなんパパッと終わらせりゃいいんだよ!」

「すみません・・・」

「ほら行くぞ!」

「えっ、あの・・・」


口之津は瑞穂の手をグイグイと引いて図書室を後にする。

引かれながらも後ろを見れば、無表情のままの小浜がただその場に立ち尽くしていた。










「ちょっと口之津先生、教室あっち・・・」

「わぁーってるっつの!」


なぜか教室ではなくゴミ置き場の喫煙所に連れてこられた瑞穂は疑問に思いあたりを見回した。
しかし当然、有馬達の姿はない。

そんな瑞穂を無視して口之津はタバコを一本吸いはじめた。


「授業始まっちゃいますよ・・・?」

「ちょっとくらい遅れても大丈夫だろ。
とりあえず座ってゆっくりしようや」

「・・・・・・?」


ポンポンと自分の隣を叩く石段に腰を下ろすと口之津はスパーっと大きく煙を吐いた。



「よくわかんねーけどなんかヤバかったみたいだからよ」


「・・・・・・!」



さっきの緊張から一気に脱力していた体がまた一瞬にして強張った。



キーンコーンカーンコーン・・・



授業開始のチャイムが鳴る。



口之津を見ればいつもと変わらない様子でタバコを加えてボーッと空を見上げていた。
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