有明先生と瑞穂さん
「瑞穂さん、今日昼休み何かあった?」
やはり当然のように、その日の夜有明の家に行けばその時のことを聞かれる。
当たり前だがどう伝えるべきか悩んでいた瑞穂は返事に困った。
「えっと・・・」
「授業に遅れるなんて珍しいじゃない。
・・・・・・もしかして小浜先生に何か言われた?」
勘が鋭い有明に瑞穂は更に困惑した。
(どうしよう・・・。バレてるってことは伝えた方がいいんだけど・・・でも・・・・・・)
有明に嫌われたくない瑞穂は小浜に言われたことを伝えたくなかった。
口之津はあんな風に言ってくれたけど、小浜が言っていたことも事実だ。
(有明先生とコッソリ付き合ってるって優越感に浸ってたのは・・・きっと本当)
それを知ったら有明はどう思うだろうか。
有明と付き合っていることを知ったら、有馬や深江はどう思うだろうか――。
「・・・・・・」
「瑞穂さん?」
「いえ、小浜先生には会ってませんよ」
「そう・・・?でも・・・」
「まあまあ有明ぇー!!
しつこい男は嫌われるぞー?!」
ゲームをしていた加津佐が手を止めて有明の背中をバンバン叩いた。
「痛っ・・・。おまえは話に入ってくるな!」
「うおっ、ヒド!
晴ちゃーん、有明がいじめるぅ~~!!」
「あはははっ」
(私も一瞬加津佐さんの存在忘れてた・・・)
「ふーんだ、有明なんかハブだ!」
とふて腐れる加津佐は瑞穂にもうひとつのコントローラーを渡し、ゲームに誘う。
誘われるままにゲームを始めた瑞穂の背中を見て有明は小さくため息をついた。