有明先生と瑞穂さん
「有明先生と付き合ってるんだって」

「超普通な人じゃない?何で?」

「結構裏じゃやってるらしいよ」

「ああ、口之津先生とか有馬さんと仲いいもんね」

「でもあの有明先生が相手にするー?先生は真面目じゃん」

「たぶらかしたんじゃないのー?有明先生って純情っぽいじゃん」




――――――――


―――――




孤立―――。




瑞穂が歩けば、「ああ、あの人」と指を指されヒソヒソと耳打ちをする。


はじめは、噂話はいつか消えると思っていた瑞穂も次第に表情に疲労が見え始めた。


「瑞穂、大丈夫か?」

「あっ、うん・・・」


心配そうに覗き込む布津から少しだけ距離をとって瑞穂は頷いた。



「布津もしばらくはあんまり私に近づかない方がいいよ。
前みたいに・・・また布津まで噂されちゃう」


「・・・・・・!」


瑞穂の言葉に布津は眉間にシワを寄せた。



小学校の頃孤立した瑞穂に一人だけ変わらず接していた布津。
当然周りが黙っているわけもなく、「二人は付き合ってるんだ」と噂された。

高校生の今でこそ同級生同士のそういった話は何とも思わないが、当時は気分がいいものじゃなかった。

あの時も布津はあまり気にしなかったが、瑞穂は布津のことを思って距離を置こうとしていた。



その時と同じだ――。



「瑞穂、お前がそういうこと言うと俺が怒るのわかってるだろ」

「・・・・・・ごめん」


一番キツいのは瑞穂だ――。


ついキツいことを言ってしまった、と布津は心を痛めた。
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