有明先生と瑞穂さん
そういうと深江はスカートのポケットから携帯を取り出し、画面を見せた。



「この写真が噂に真実味をもたせてたみたい」



そこに写るのは体育祭の時の有明と瑞穂――


瑞穂のフォークからミートボールを口で受け取る有明と、それを顔を真っ赤にして驚いている瑞穂の二人が写っていた。


――あの時だれもがふざけていた。


有明も瑞穂の気持ちを知る前で、二人は付き合っていない。

だから今より余計に周囲に対する警戒心が弱かった。


この時の有明は突然自分を避けだす瑞穂に痺れを切らしていた。

この行動自体、当てつけのようなもの。



「あんまりにもいいショットだったからおもしろがって何人かに見せたことあるんだ・・・。
それが今回のことに繋がって話が大きくなったみたい。

ごめんね・・・私こんなことになるなんて思ってなくて軽い気持ちで・・・」

「仕方ねーよ。誰だってこういうのは予想できねーって!」


驚きながらも瑞穂と布津は深江をなだめた。



「二人が付き合ってるって証拠に仲がいい二人の写メが出回ってるって噂になってるみたい・・・。
これを見せたことのある子から言われて気づいたんだけど、このことじゃないかって。
人づてに話も変わって、二人が内密に会ってるところの隠し撮り写真が流出してるって話だったり抱き合ってる写真だって話だったりするみたい・・・」


「そんなことってあるのかよ・・・」


「噂って広がれば広がるほどに尾ひれがつくから」


信じられない、と布津は首をかしげた。
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