有明先生と瑞穂さん
「じゃあさ、この写メを見せて説明するってのはどうだ?」

布津の提案に瑞穂は唸る。

「この写真だと微妙すぎるよ・・・」

「そっか・・・」

瑞穂の言葉に布津はガクリとうな垂れる。


「聞いてくる人には違うって説明できるんだけど、信じてくれない子だっているし・・・」

「ありがとう結ちゃん」


瑞穂は深江の肩を優しく叩いた。


「え・・・?」

「私のためにそこまで心配してくれてありがとう。
それだけで心強いよ。
どうせ噂なんていつかは消えちゃうんだし、騒ぎ立てるよりは大人しくしておいた方がいいと思うんだ。
私が我慢すればいいことだから、結ちゃん達まで心を痛めることないよ」

「・・・晴ちゃぁん・・・・・・」


深江はさらに眉をしかめた。




深江の気持ちが素直に嬉しい。




「私は絶対晴ちゃんの味方だよ!」



深江はぎゅっと瑞穂の手を握った。



チャイムが鳴り、教室に戻る。


「布津」


深江が先に教室に入ったことを確認し、瑞穂は小さな声で呼び止めた。



「もし、本当のことを知っても同じこと・・・言ってくれるのかな」


「・・・・・・馬鹿言うな」



――絶対に話してはいけない。


それは瑞穂が一番わかっているはず。


しかし布津は、今の心の弱ってしまった瑞穂が隠していることが後ろめたくなって話してしまうのではないかと不安になる。


「例えばの話」


「・・・あいつらはそんなことでお前と縁切ったりするようなやつらじゃねーよ」


確信も保障もない。


だけど布津にはそう答えることしかできなかった。
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