有明先生と瑞穂さん
「嘘つかないでよ!!
私あの写メ見たんだから!
ちゃんと持ってるんだから!!
・・・なによ・・・なによ・・・。
馬鹿にしてるの?!
有明先生と付き合えていい気になってるんでしょう?!」


「はっ・・・・・・?!」



写メが出回っている可能性は考えていた。

深江が数人に送ったことがあると言っていたので想定内だ。


しかし『付き合っている』という証拠にするには微妙なあの写メを見て信じる人間がいたとは思わなかった。


(・・・っそれよりも・・・!!)




有馬以上だ。


ここまで有明に対して執着する生徒がいたとは――。



有明を好きな生徒は有馬や深江のように目立って騒ぎながら近寄る生徒だけではない。

そんなことはわかりきっていたのに・・・・・・。


表立って有馬のように熱烈に思う生徒もいれば、影ながらこっそりと思う生徒もいる。



――それがこの女子だったのだ。



「・・・・・・はっ・・・離してっ!」

「!」


瑞穂が自分の体ごと体当たりすると痩せた体は簡単に倒れ、その勢いのまま二人は廊下に倒れこんだ。

手が離れたことを確認すると急いで立ち上がり走って逃げる。


「ま、待て・・・・・・!」


女子も立ち上がって追いかけるが突然の反撃に遅れを取り、あっという間に瑞穂との差はついてしまった。


それでも必死に見失わないように着いてくるので瑞穂も校舎をでたらめに走って撒く。

人気のある場所へ行けば一番安全だったのだが、これ以上目立つことはしたくなかった。


直線で差をつけ、角を曲がったところで近くの教室に入る。

元から扉が開いていたので音でバレることもない。


瑞穂は慌てて影に潜んで身を縮こまらせた。
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