有明先生と瑞穂さん
小浜は雑務を頼まれていたらしく、洗濯の終わったシーツや干した布団などを片付けていたところらしい。


「今から仮眠ですか?
当直、大変ですね。
丁度よかった、このシーツ今干していたのを取り込んだばかりだったんですよ。
使ってください」


何事もなかったように接する小浜の手からお礼を言ってシーツを受け取る。


・・・扉が閉まっていたから抱き合っていたのは見られていない。

そんなに危うい言葉も言っていないはず・・・。


(あ、そういえばムラムラとか瑞穂さんが言ってたっけ)


ギリギリただの冗談として・・・というか事実冗談だ。


有明がそういうことを考えていると小浜が微笑んだまま口を開いた。


「大丈夫ですよ。疑うようなことは聞こえてきませんでしたから」



――しまった、顔に出ていたか・・・。



有明は「そうですか」とだけ小さく返事をした。



「有明先生が名前を呼ぶまではわからなかったんですけど、バタバタと走ってここに駆け込んだみたいでしたよ」

「え・・・?」

「後から誰か・・・声が聞こえたので女子生徒だと思うんですけど、この前を通り過ぎたみたいで・・・追いかけられていたのかしらね」


「・・・・・・!」


瑞穂が話さなかった有明の知らない事実。


自分が思っていた以上に大変なことが起きている――






「有明先生・・・、今瑞穂さんのまわりで何が起きているか


知っていますか・・・?」



ドクドクと心臓が高鳴る。
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