有明先生と瑞穂さん
「瑞穂さんのまわりに・・・?」

「やっぱりお聞きになってないですか。
有明先生にも関係のない話じゃないんですよ」

「え・・・・・・?」


有明の表情がこわばる。
小浜はそれでもゆっくりとした口調で話した。



「最初は何の根拠もない些細な噂だったみたいですけど・・・そうですね、あの時がきっかけなら私にも責任がありますね」

「あの時って・・・?」

「有馬さんと騒動を起こしてしまった時です。
瑞穂さんを保健室に運ぶ有明先生を見て、二人が付き合ってるという噂が流れてるそうなんです」


ドクン、と心臓が大きく揺れる。

それでも有明は平静を装う。


「・・・あれくらいのことで・・・?」

「高校生って多感ですから。
それに・・・この話の出所はわかりませんが、噂をさらに膨らませているのは二人の写メールが出回っているからだとか」

「え・・・?」


まさか体育祭の写真が出回っているとは知らず、他にそれらしいものを撮ったことのない有明は訝しげな顔をする。


「そんな噂・・・俺には全然・・・」

「教師の間でも知ってる方は少ないみたいです。
それに、そういう根拠のない噂は高校生は大好きですから・・・知っていても噂程度なら誰も本気にしていないだけだと思うんです」「・・・・・・」


瑞穂が話さなかったのは自分に余計な心配を掛けさせないため――。


何も知らずに、自分を頼ってくれない瑞穂に不満を感じていた自分をひどく恨む。
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