有明先生と瑞穂さん
小浜はお茶に一口だけ口をつけると正座していた足を崩し、さらに見下すような目線を瑞穂に向けた。


「少し考えたらわかるんじゃない?
私がそんなことしたって何のメリットもないこと」


「メリット・・・?
メリットならあるじゃないですか。
恨んでる私を、叩き潰すことができたんだから」

「あら、貴女今叩き潰されちゃってるの?」


小浜はクスクスと笑う。


「あの事件と写メだけでここまで噂が流れるはずないもの!
それに小浜先生、私を脅してたじゃないですか!
『友達にバレたくないわよね』って――・・・

だから・・・」

「だから、噂を拡大させた黒幕は私――?」



「・・・・・・」



瑞穂は頷く。


それ以外ない――。



しかし小浜は声を出して笑った。


「アハハハッ。おめでたい子ね」

「なっ、何が・・・!」


「もう一度聞くけど、私に何のメリットがあるの?
そして私がどうやって噂を流すの?

教師側の人間が生徒にだけそういう噂、流せるものかしら?
少なくとも私の存在も疑われるわよね。
有明先生に好意を持ってる女子生徒達からは恨まれてるような存在なのに、誰が信じてくれるの?
私に寄ってくる男子生徒達に話したところでその噂は蔓延するかしら?」

「・・・・・・ッ」


まくしたてる小浜の言葉のどれにも反論できなくて、瑞穂は言葉を詰まらせた。



「・・・・・・そ、そんなの・・・どうやってでも・・・」

「じゃあ教えてあげる。
確かに貴女を貶めるというメリットはあるわね。
でも私がそうしちゃうとデメリットの方が大きいのよね」


デメリット――?
< 1,170 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop