有明先生と瑞穂さん
瑞穂から手を離しベッドの横に座り込むと俯く瑞穂の顔がハッキリと見えた。


――小浜や知らない生徒達からも標的にされて、心がボロボロなんだ・・・。



「布津ぅ・・・。
私、一人じゃ何にもできないよ・・・。守りたいものすら守れないんだ。
自分の行動ですら相手に好機を与えちゃう。
何をしてもうまくいかなくてさ・・・。
有馬さんからもね、隠し事してることバレちゃってさあ・・・。
それでも有馬さん、隠し事してる私を守るって言ってくれたんだよ・・・!

私こんなにいい人達に嘘ついてまで



有明先生と付き合っていくことなんて――・・・」


「瑞穂!!」


――言わせてはいけない。


布津は瑞穂の両頬を両手で掴んで顔を上げさせた。


「勢いだけでそういうこと言うなよ・・・!」


瑞穂の顔がゆがむ。

布津は大きくため息をついた。


「とりあえずオマエ、ちょっと休め。
今は冷静に考えらんねーんだ。
明日学校サボっちまえよ!
一日ぐらいいいだろ。
一人じゃ心細かったら、俺も一緒にサボるからさ」

「私・・・冷静じゃない・・・?」

「それもわかんないぐらいなんだから、冷静じゃないんだろ」

「・・・・・・」


瑞穂が黙って頷くと、布津は「ヨシ」と言って頬を掴む手を緩めた。




「これは俺からの愛のムチだッ!」

「え」


バチーーン!!


「いったぁーーーー!!!!」


布津の両手が瑞穂の頬を両方から思いっきり叩く。

瑞穂は頬を押さえてベッドを転がりまわった。
< 1,179 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop