有明先生と瑞穂さん
「だっ・・・大丈夫か・・・?ごめんな・・・」

「あ、謝るならするなぁーっ!!」

「そうだ!歯を食いしばれッ」

「遅いわあぁーー!!」


あまりの痛さに涙がにじむ。


「ははは、でもいつもの瑞穂に戻った」

「え・・・」


そういえば不思議と頭がスーッとしたような気がする。


「これで明日ゆっくり冷静に考えられるだろ」

「・・・・・・」

「瑞穂さあ、小浜から何言われたか知んねーけど、真に受けるなよ」

「真に受けてる・・・かな・・・」

「わかんねーけど、ずっと自分責めてる」


――自分を責めてるのは小浜先生のせい・・・?


「誰かのせいじゃないよ。私がこんな性格だから――・・・」

「ほら、そこだよ瑞穂の悪いところは」

「え?」

「結局いろいろ言われても、相変わらず人から嫌われるのが怖くて、ジメジメと自分を責める。
そこが瑞穂の悪いとこだよ」

「・・・・・・」


言い返せなくて瑞穂は肩を落として落ち込む。


「でも俺は瑞穂のどうしても直すことのできない欠点知ってるけど、嫌いにはならないぞ」

「え・・・」

「だってそうだろ?
たとえば瑞穂、有馬の欠点ってなんだと思う?」

「有馬さんの・・・」


情に厚くて、実は結構大人で面倒見がよくて、明るくてでも突っ走っちゃうとまわりが見えなくて――


「あんまり人目を気にしないところ・・・とかかな・・・」

「そうだな!あと暴力振るうところ!」


今この場にいない人間のところを悪く言うのはいい気分ではないが、布津の言い方だとまるでそれは『悪口』なんかじゃなく楽しそうに話す。


「深江の欠点は優柔不断なところと八方美人なところかな」

「でも・・・すごく優しいよ」

「うん、そうだろ?」
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