有明先生と瑞穂さん
「じゃあ有明の悪いとこはどこだ?」

「・・・・・・協調性がないところ」


躊躇がち言う瑞穂の言葉に布津が噴出す。


「加津佐さんも国見さんも俺のことも、全部欠点言えるだろ。
でも、それって嫌いってことじゃないだろ?
有馬達だって同じさ。
嫌われることが怖くて、隠し事ばっかりしてるオマエだってこと、きちんとわかってるけど・・・だからって嫌いにはならないんだよ。

瑞穂はもっと周りを信用していい」

「布津・・・」


瑞穂の心がようやく落ち着きを取り戻してきた。

ニカッと笑う顔は瑞穂に安らぎを与える――。



「はは・・・っ、やっぱり布津はすごいね。・・・・・・ありがとう」

「よせよ!あんまり褒めんなって!
俺今理性ギリッギリ保ってるんだからよ!」

「えぇ~~・・・それってどうなの・・・」





布津がどうしても休めというので次の日は学校を休むことにした。
一緒に休んでやろうかと言ったけど、さすがにそんなことはさせられないので断る。
一日学校を休んでボーッとするだけなのに、
「何かあったらすぐ連絡しろよ!」
なんてまるで保護者みたいに心配してくれた。


めいいっぱい瑞穂を甘やかす布津だが、そのおかげで帰るころには瑞穂に笑顔が戻っていた。






***


「小浜って子、そんなにひどい子だっけ~?」


仕事を終えた加津佐と国見は缶コーヒーを飲みながら一緒に家路へと向かっていた。

ふいに、加津佐がそんなことを聞く。
国見は目を丸くしてため息をついた。

「はぁ~~・・・タケルって平和ねー・・・」

「だって俺あんまり知らねーし。下級生のかわいくて有名な子ってくらいしか。
クセがあるって言ってたけど結局どういうことする子だったの?」

国見はコーヒーをずずっとすすると暖かい息を吐いた。
< 1,181 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop