有明先生と瑞穂さん
瑞穂の言葉に二人は深刻な顔をして黙って聞いていた。

話が終わるとしばらく考え、押し黙る。


先に口を開いたのは深江だった。


「隠し事があるのは、仕方ないと思う。
それを隠すことが友達にとって悪いことでも、仕方がないことってあると思うよ、結は」

「深江・・・」


有馬はそれでも少し納得がいかないようで眉間にシワを寄せた。


「有馬さんはね、晴ちゃんが心配だから隠し事されるのが嫌なんだよね。
もっと頼ってほしいからそう思うんだよ。
その気持ちは結もわかるけど・・・でもさ、今の晴ちゃんはそういうことじゃないと思うんだ」

「そういうことって・・・」

「有馬さんや結たちを頼ってないわけじゃないよ。
ね、そうでしょ?」


瑞穂は大きく頷いた。


「うん・・・!

話せなくてごめん。
自分勝手なこと言う。
だけど、私は有馬さん達のこと友達だと思ってるから開き直らせて。


話したくない!

だけど

私のこと助けて!!」


「・・・・・・!」



顔を真っ赤にして自分勝手なことを言う瑞穂に、布津が後ろでブハッと噴出した。



「ふふっ、いいよ!」

深江が楽しそうに笑う。
有馬に目をやると、はじめは驚いていたが「しょうがない」という顔をして笑った。



布津が「なっ?」と得意げな顔をする。
いつもなら「偉そうな顔するな!」とどつくところだが今日だけは感謝して瑞穂も笑顔で返した。







「おーい、HRはじめるぞー。席につけー」

担任が入ってきてそれぞれに散らばる。

嬉しくてスキップで席に戻る深江はなんとなく有馬の横顔を見た。


「どうしたの?有馬さん。まだ何か引っかかってる・・・?」


「ねえ深江・・・。
瑞穂の隠してることってさ、もしかして・・・・・・」


「・・・?」


「ううん、私の勝手な想像。
やっぱりなんでもない」
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