有明先生と瑞穂さん
もう我慢できない――!


「証拠なんて関係ない!」

「瑞穂さん!」


瑞穂が小浜に詰め寄った時、後ろから強く肩を引かれてよろめく。


「有明先生・・・!」


声が聞こえて慌てて階段を駆け上がってきたのだろう、息が少し切れている。


「・・・・・・っ、離してください!
私はまだこの人と話は済んでません!」

「落ち着いて瑞穂さん」


小浜も有明の登場には少し驚いたらしく、分が悪そうな顔をして黙っている。



「だってこの人のせいで・・・
この人の身勝手な考えのせいで皆が傷つかなきゃいけなかった・・・!
あの3年の子も、有明先生も・・・
私を、私を貶めたいために皆がッ――」

「やめなさい!」

「――――!!」



有明に声を上げられ、瑞穂はビクリと肩を震わせて押し黙る。


――有明に叱られたのは初めてだ。



「ど、どうして・・・庇うんですか・・・。引っ掻き回したのはこの人なのに・・・」

「証拠もないのに、人を疑っちゃいけない」

「・・・・・・っ」



どうして小浜を庇うのか――


確かに有明はまだ、小浜の本性なんて知らない。

だけどどうして気づいてくれないの・・・?



今の姿はどう見ても自分が悪者だ。


小浜を睨むと少しだけ口の端を上げて笑った。
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