有明先生と瑞穂さん
「カンパーイ!」
その日の夜、有明の家で国見の乾杯の合図で4人は缶をぶつけた。
「っかーー!!」
一番関わりのなかった加津佐が一番おいしそうにビールを喉に流し込む。
続いて国見が
「やー!めでたいめでたい!」
と気分よく手を叩いた。
「め、めでたい・・・のかなあ・・・?」
瑞穂はひとり複雑な顔をしてジュースに口をつける。
「めでたいよ。俺もようやく、したくもない笑顔作る必要がなくなったしね」
ビールに口をつけながら有明がさりげなく黒いことを言った。
(え・・・先生すでに酔ってる・・・?)
瑞穂は黙って顔を背けたまま有明から少しだけ距離を取った。
「ナニナニ?!どうしたの晴ちゃん!」
瑞穂が寄った先にいた加津佐がするどく気づいて嬉しそうに目を輝かせる。
その姿はまるでエロオヤジだ。
「有明ぇ、晴ちゃん俺の隣がいいって!」
「・・・・・・瑞穂さん、あんまりそっちに近寄っちゃ駄目です。
こっちにおいで」
「ひでえ!変態扱いかよ!!」
それを見て国見がカラカラと笑った。
「ちーがうわよタケル!瑞穂チャンはアンタに近寄ったんじゃなくて有明から離れたのよ~!」
「く、国見さ・・・ちが・・・!」
「・・・瑞穂さんどういうこと?」
(ひ、ひぇぇぇぇ!)
じっと見てくる有明から逃げるように瑞穂は視線を泳がせた。
「いやっ・・・あの・・・っ」
その時背後にドンッと衝撃を受け、気づいた時には瑞穂の前に腕が回る。
「かぁ~くほぉ~♪」
「ぎゃあっ!」
調子に乗った加津佐が瑞穂に抱きついたのだ。
有明はさらに不機嫌そうな顔をする。
国見はゲラゲラと声を上げて笑っていた。