有明先生と瑞穂さん
「加津佐、瑞穂さんを離せ。瑞穂さんこっちにお・い・で」


有明の殺気は加津佐に向けられたものなのだが、一度恐怖を感じてしまった瑞穂はそれが怖い。

「ぎゃああーーっ!!ごめんなさーーい!!」

ガンッ

「ぐふっ?!」


驚きのけぞった瑞穂の後頭部が見事に加津佐の顎にヒットし、それを見た国見が涙を流して大笑いする。

「えぇっ?!ちょっと瑞穂さん?!」

「ぎゃぁあーーー!有明先生怖いぃーー!!」

「?!」


加津佐から開放された瑞穂は国見に飛びつき本気でおびえる。


「あ~あ、有明フられちゃった。あ~あ!」

「ええー・・・何で?」

「有明の本性知って怖いんじゃないの~?
そゆトコ小浜チャンにソックリじゃない」

「え」


自覚しているだけあって国見の言葉に有明は本気で落ち込む。

瑞穂は必死で否定したが聞いてはくれない。

しばらく黙っていた有明だが、ふと立ち上がると何も言わずに奥の寝室へと引っ込んでしまった。


「え・・・?え・・・?」

「あーあ!有明すねちゃった!瑞穂チャンのせいですねちゃった~」

「えー!!そ、そうなんですか?!ど、どうしよー!!」


国見のからかいに瑞穂は本気で不安になり慌てる。
それを二人は楽しそうに笑った。


「でもどうしちゃったの晴ちゃん。突然おびえだしてさー」

「・・・だって有明先生怖いんですもん。
全てが先生の手の上っていうか、計算どおりっていうか」

瑞穂はぶぅっと唇を尖らせた。


「俺に対するいつもの暴力じゃわからなかった?!」

「はあ・・・まあ・・・」

「もっと俺にも興味持って!寂しい!」

瑞穂の生返事に加津佐は泣き真似をした。
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