有明先生と瑞穂さん

「私は普通のつもりなんですけど･･･有明先生や周りの人からはそう見えるようで･･･」

瑞穂はガクリと肩を落とす。

「口之津先生にも大好きな彼女がいるし、これといって特別な感情はお互いないんですけどね」

「じゃあじゃあ～、有明とその口之津って男どっちが好きィ～？」

加津佐がニヤニヤしながら聞く。


「そっ、そりゃあ･･･っ、き、決まってるじゃないですか･･･。
あ、有明先生です･･･よ･･･」

だんだん声を小さくして恥ずかしがる瑞穂を二人ははやしたてた。


「晴ちゃんデレてるデレてるぅー！
ハズカシー！青春だねー！こっぱずかしいねー！」

「ちょっ、やめてくださいよー！！」

「でもぉー、あの有明が妬くくらいなんだから口之津って人にもそれなりの感情がぁ～･･･」

「な、ないですってば！
口之津先生は、その、アレですよ！


先生として一番尊敬してるだけです！」



バサバサッ



「･･････？」



何かが落ちる音がして振り向くと、有明がショックを受けた顔で立っていた。


瑞穂がキョトンとしていると加津佐と国見が爆笑する。


「だははははは！！ドンマイ有明ぇー！！」

「きゃはははははは！フビンっ･･･！有明がフビン･･･っ！」

「え？！え？！なんですか？！」


意味がわからずキョロキョロと３人の顔を見回していると、加津佐が有明に駆け寄り、慰めるように肩に腕をまわした。



「そんなに落ち込むな有明ー。
教師としては口之津ってヤツに負けてても、お前は男として勝ってるんだ。
だからそんなに落ち込むことないぞー。

教師として負けてても！」


話しながら加津佐は我慢できずにブハッと噴出す。


「え、えー！？いやちがっ･･･」


「うるさい･･･加津佐･･･死ね･･･」

有明の悪態にも覇気がない。