有明先生と瑞穂さん
瑞穂は必死で有明の機嫌を取る。

「あっ!えっと!そういえばー!
先生何しに行ってたんですか?!」

「ちょっと肌寒くなってきたから上着を取りに・・・。
一応瑞穂さんの分も持ってきたんだけど・・・ハァ」

「う、うわー!嬉しい~!!
せ、先生やっぱり優しいなー!アハハハ」


瑞穂のご機嫌取りはド下手くそだ。


「有明ぇ~、俺たちにはないの~?」

「ねぇよ馬鹿・・・。仲良くくっついてろ」


暗い有明の背中を見て瑞穂はいよいよヤバいと感じる。


これは一刻も早く名前を呼んでご機嫌を取り戻さねば!





「しょーがねーよ有明。オマエはどんなに上っ面よくしてても所詮冷徹男なんだから!

よっ、スノーマン!雪女!」

「なんで女だよ!」


ボゴッ








***



昼休み、瑞穂は弁当を食べながら盛大にため息をついた。


「疲れたの?晴ちゃん」

「昨日あんなことあったばっかりだからな」

「いや・・・そうじゃないんだけど・・・」

「ねえねえ晴子!
アンタ前に家にちゃんと招待するって約束したわよね?!
それいつなのよ!ねえいつよ!!」

「有馬テメェ、有明んちに押しかけたいだけだろーが!!」

「・・・晴ちゃんが疲れてる原因、有馬さんなんじゃないの?」

「・・・・・・」


有馬は朝からずっとこの調子で目をギラつかせている。


そんな有馬をスルーして瑞穂は頭を痛めた。


学校ならすぐにわかると思ったのだが、なかなか有明の下の名前まではどこにも書かれていない。

職員室も覗いてみたが、教師の予定の書かれた小さなホワイトボードにも苗字でしか書かれていなかった。
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