有明先生と瑞穂さん
風が二人の髪を揺らす。


「・・・わかってたんですか」


「・・・・・・」



振り向かない口之津はどういう顔をしているのかわからない。


有明自身、自分がどんな顔をしているのかわからなかった。



それでも、隠したりごまかそうという気は起きない。



「有明先生は冷静で頭がいい。

でもアイツはそこまでうまくできるヤツじゃねーと思うんだ。

だから、俺なんかに無意味な嫉妬してないで、できればもっと頭ん中合わせてやってください。

・・・振り回されてばっかりじゃアイツがかわいそうだ」


言葉がズキリと胸に刺さる。



有明の返事を待たずに口之津は歩き出した。


数歩遅れて有明もその後ろを歩く。




(俺もまだまだガキだな――・・・)


少しだけ冷たくなった風を仰ぎ見た。






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