有明先生と瑞穂さん
「ちょ、ちょっと・・・クラスの委員で使うんだよねー・・・」


言い訳が苦しい。


「職員室で言えばもらえるんじゃないですか?」

「・・・・・・」


確かにそうだ。
やはり自分は嘘があまり得意ではない。


「そ、そうだね・・・」


その時チャイムが鳴り、部活が終わる6時を知らせる。


「あ、先輩。早く片付けちゃいましょう」

「ごごごごめん!!」


千々石に急かされ瑞穂は慌てて日報を書き終わらせ、帰る支度をする。

そこへ愛野先生が入ってきた。


「お疲れ様。戸締り終わったかしら?」

「お疲れ様です。今終わりました」

「じゃあ私が鍵閉めておくからもう帰っていいわよ」



瑞穂と千々石は「お疲れ様でした」と挨拶をして図書室を後にする。

廊下の窓から見る空は夕焼けが真っ赤だ。


しばらく歩いたところで前を歩く千々石が「あっ」と何かに気づいたように声を出した。


「そうだ先輩。今いる先生のはわかんないですけど、去年までのだったら卒業アルバムに載ってるんじゃないですかね?」

「え!!」


クルリと振り向いて笑う千々石が女神に見えた。


「そ、それじゃあ・・・」

「毎年のアルバムなら、図書室に保管されてますね」

「あ、ありがとう千々石さんッッ!!!」



瑞穂は大声で千々石にお礼を言うと、来た道をダッシュで戻った。
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