有明先生と瑞穂さん
(そりゃそうだよね・・・。一冊の本に何箇所にも名前書かないよね・・・)
興奮していて考えが浅かったと肩を落とす。
「瑞穂さん?」
「あっ、コレ・・・」
瑞穂は辞書を差し出した。
「あ、コレ俺の・・・。またここに来てたんだ。
・・・なんかすごい偶然だね」
そう言って笑う有明はすごく嬉しそうだ。
瑞穂もなんだか特別なものがあるような気がして嬉しい。
「有明先生はどうしてここに・・・?」
「資料を探しに・・・っていう名目で、実はここに来たくて」
「え・・・?」
首をかしげる瑞穂を見て、有明は恥ずかしそうに笑った。
「実はたまにね、この場所に来るんだ。
・・・どうやらここは俺にとって特別な場所になってたみたいでさ。
ここに来ると落ち着くというか、気分がよくなる」
「・・・・・・!」
瑞穂は驚き目を見開く。
「・・・・・・っ、私も・・・!
私も・・・同じです!」
「え?」
有明も驚く。
そして二人で恥ずかしそうに笑った。
――不思議だ。
人を好きになるって、不思議だ――――。
有明は辞書を近くの机に置くと、少しだけ開いたカーテンの隙間から漏れる夕日の光に目をやった。
「綺麗だね。綺麗なオレンジ色」
「そうですね。・・・あの時はまだ夏のはじめで、空は青かったですもんね」
「瑞穂さんは空が好きだね」
自覚はないが、きっとそうなのだろう。
もう一度空を見上げると、有明がカーテンを閉めた。
興奮していて考えが浅かったと肩を落とす。
「瑞穂さん?」
「あっ、コレ・・・」
瑞穂は辞書を差し出した。
「あ、コレ俺の・・・。またここに来てたんだ。
・・・なんかすごい偶然だね」
そう言って笑う有明はすごく嬉しそうだ。
瑞穂もなんだか特別なものがあるような気がして嬉しい。
「有明先生はどうしてここに・・・?」
「資料を探しに・・・っていう名目で、実はここに来たくて」
「え・・・?」
首をかしげる瑞穂を見て、有明は恥ずかしそうに笑った。
「実はたまにね、この場所に来るんだ。
・・・どうやらここは俺にとって特別な場所になってたみたいでさ。
ここに来ると落ち着くというか、気分がよくなる」
「・・・・・・!」
瑞穂は驚き目を見開く。
「・・・・・・っ、私も・・・!
私も・・・同じです!」
「え?」
有明も驚く。
そして二人で恥ずかしそうに笑った。
――不思議だ。
人を好きになるって、不思議だ――――。
有明は辞書を近くの机に置くと、少しだけ開いたカーテンの隙間から漏れる夕日の光に目をやった。
「綺麗だね。綺麗なオレンジ色」
「そうですね。・・・あの時はまだ夏のはじめで、空は青かったですもんね」
「瑞穂さんは空が好きだね」
自覚はないが、きっとそうなのだろう。
もう一度空を見上げると、有明がカーテンを閉めた。