有明先生と瑞穂さん
ところが瑞穂は何をやらせてもなんでもできた。


体育だけでなく勉強もできた。

テストを見るとほとんどが100点。
それを見て布津は心の中で
(100点なんて小2以来とってねーよ)
と思った。

他にも図工の時間は手先が器用。
音楽の時間は「1年のころまで習ってたから」と現役で習っている生徒よりうまくピアノをひけた。


だからこそ、布津は唯一得意の運動だけでは負けたくなかったのかもしれない。



「瑞穂、勝負だ!来い!」

「また晴ちゃん呼ばれてるよ
~」

「無視すればー無視!」

「んー…でもちょっと行ってくるね」

呼べば瑞穂はいつもニコニコとついてきた。


「今日はこれな!これはさすがにできないだろ!」

そういうと布津は高い鉄棒を握り、逆上がりからくるんくるんまわってみせた。

「すごいね!」

いつも瑞穂は褒めるが大抵やったことがないだけで、いざやらせてみると簡単にできたりする。

その度に人の気も知らずに瑞穂は
「できた!」
と喜ぶのだ。

もしそれができなくても次の日までには大抵マスターして、休み時間に布津を呼び嬉しそうに見せてくる。

いつもその繰り返しだった。
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