有明先生と瑞穂さん
「よいしょ…」

大きく重いごはんをひとりでヨタヨタと運ぶ。

フーちゃんはすぐに追いついて来てくれるだろう。
遅くても自分ひとりで運んでいれば、その方が早い。


給食室から4年の教室までは階段を2度のぼる。

手がしびれて落としそうになったが瑞穂は結局ひとりで教室までついてしまった。


「おかしいな…」

フーちゃんの姿を探すと彼女は白衣のまま壁にもたれかかって友達と楽しそうに喋っていた。

(…あれ?)

順番にごはんを器に持っていると途中から何も言わずにフーちゃんが参加する。


「もーフーちゃん、待ってたんだよ。一人で重かったよ」

笑いながら冗談っぽく言うとフーちゃんは眉間にシワを寄せて瑞穂を睨んだ。


「!」


「晴ちゃんは力あるんだから一人で持てるじゃん」


突然の敵意に瑞穂は固まる。

力のあるなしではない。
係りで決められたことだから、当番がやるのは当たり前なのに…。

そう思ったが理由なく睨まれた瑞穂は自分が何かしてしまったのではないかと反論できずにいた。
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