有明先生と瑞穂さん
「晴ちゃんは何でも完璧にできるから一人でもいいんだよ」


誰かがクスクスと笑いながら言った。



それからはもうずっと一人。



『晴ちゃんは何でもできるのを鼻にかけて自慢ばかりする嫌な子』


として噂が広まり、やがてそれは男子の耳にも入り布津も事態を知ることとなった。


布津だけはいつもどおりに接してくれたが布津と瑞穂が一緒にいれば

『あの子は女友達より男がいればいいんだよ』

と悪口をささやかれる。


それでも瑞穂は布津を避けたりはしなかったが、人前で一緒にいると苦しそうに笑う瑞穂を見ていられずに自然と布津も離れていった。


今までクラスの中心で笑っていたのに今は一人浮いている。


先生もそれに気づいたのかなんとかみんなの中に入れようと瑞穂を持ち上げるが逆効果だった。


『晴ちゃんはいい子だから先生にひいきされてる』





(瑞穂は今まで一度だって何かができることを自慢したことなんかないだろ)


布津はそう思ったがまだ小学生の自分には何もできなかった。
< 136 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop