有明先生と瑞穂さん
その時は気にしていなかった布津だがよく知った瑞穂のことだ。何かがおかしいとすぐに気づいた。


ほとんどの科目が平均的。
体育で運動してもどれも並。
何をやらせてもあんなにうまくこなしていたのに…。

昔は行動的でなんでも挑戦していたのに今はまわりから「やってみなよ」と言われてもやんわり断ってばかり。

そして特定の仲のいい友達を意識的に作らないようにしていたようだった。



そして何より決定的だったのは―



「おまえ最近全然笑わないな」



「え?笑ってるじゃん」






――『できた!』


布津の真似をして上手に鉄棒をまわった瑞穂の見せた満面の笑顔を思い出す。



臆病な瑞穂は目立たないように、と考えるあまり本当の感情をなるべく外に出さないようになったのだろうか。


同級生と話しては笑う声が聞こえるが、それじゃない。
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