有明先生と瑞穂さん
「送るよ」


資料作りはほとんど会話はなかった。

気恥ずかしさはあったが息苦しいとは思わなかった。

だから「はい」と答えて車に乗せてもらった。



言葉はないけれどお互いだいぶ落ち着いたと思う。





でも密かに瑞穂の心臓は
どく、どく、どく、どく、
と早く打つ。


(あんなに強く抱きしめられたのは初めてだ・・・)

強く抱きしめるからまだ感触が残ってる。


運転席と助手席との距離。

近いような遠いような。



(今触れられたらどうなっちゃうんだろう)


どうにかなるはずなんてないのにまるで溶けてしまうんじゃないかと思えて仕方なかった。
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