有明先生と瑞穂さん
それを見た有明先生は視線を前に戻しひとつ呼吸をした。


「…困らせてごめんね」



そういうと遠慮がちに触れていた指がふっと離れ、温もりが消える。



(・・・あ、)






そのまま手は離れるのか、

そう思った瞬間今度はしっかりと手のひらで手を包み込むように握られた。



「―っ!」


今度は手のひらから手のひらに伝う確かな温度。

皮膚の感触。


人と手を繋ぐのはこんな感触だったのか。


友達と手を繋いだこと。
小さな頃親に手をひかれて歩いたこと。

過去の手を繋いだ記憶を辿るがどれもこれとは違う。
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