有明先生と瑞穂さん
有明先生の声のトーンが変わる。


「最初は気づかれたくなかったくせに、段々といつになったら気づくのかなって思うようになってた。

今度はマンションで会っても自分から挨拶したり。

いい天気ですね~なんて言ってみたりもしたけど瑞穂さん全く気づかない」

「えええ・・・そ、そんなに会ってたんですね・・・」


瑞穂は自分で自分にドン引きする。

有明先生の顔はもちろん覚えてるはずなのに、同じマンションに住むわけがないという無意識のうちの先入観がそうさせたのか。


「・・・君が一度、駐車場で夜に一人でぼーっと空を見てたところに偶然会ったんだ。
俺は買い物の帰りか何かだったと思う。

瑞穂さん、無表情だったけど・・・なんでか俺には泣いてるように見えちゃって」


瑞穂の胸がドキンと波打つ。


「ハタから見る分に君は、ご家族だって普通に円満みたいに見えるし、学校でも友達が普通にまわりにいるのに・・・

なんでかな。
寂しそうに見えた。

ただの妄想かもしれないけど、

でも自覚したんだ・・・。


なんでそんな顔をするんだろう。

そんな顔はさせたくないな


俺が隣にいられたらな・・・


そこまで思って、

ああ、俺は知らない間に彼女に惚れてたのか、って」
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