有明先生と瑞穂さん
言葉が出ずにだまってうつむいていると有明先生がゴホンとひとつ咳払いをした。

顔をあげると手を口に当ててチラリと瑞穂を見る。


「・・・以上、ここまでで何か質問は?」


有明先生なりの照れ隠しか。
まるで授業みたいな締め方に思わず瑞穂は噴出す。

「あはっ・・・!えっと・・・いいえ、ないです」


妙な緊張がほどけ穏やかな空気が流れる。



しばらく住宅街を歩くと少しは人が行きかう道路に出た。

道に出るとすぐにコンビニの明かりが目印のように光っている。


「夜のコンビニってなんかワクワクしますよね」

「夜中とか明け方もまた雰囲気が違って、俺はそっちのが好きかな」


入り口に近づき二人の顔も電気で照らされた時、一歩先行く瑞穂はコンビニに入ろうとした手前で、後ろで立ち止まった先生にグンッと引かれ立ち止まる。


「?」

不思議に思い振り返ると先生は繋がれた手を目線に上げた。


「俺は、別にこのままでもいいけど・・・」


見るといつのまにか瑞穂の方からしっかり手を握っていた。


「え・・・うわ!」
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