有明先生と瑞穂さん
有明は本音を言えば瑞穂へ好意を寄せる布津がいる場から離れたくなかったのだが、これ以上いては不自然だと諦めて保健室を離れた。


締めた戸の内側からは布津と深江の楽しそうな会話が聞こえてくる。


(深江さんがいるから大丈夫・・・か)


そう自分に言い聞かせて保健室を後にした。



(俺って結構余裕ないな・・・)


瑞穂からはあんなに大人だと思われている分、自分の幼稚さが恥ずかしい。




「あーあ、私も先生とお話したいー」

卵焼きをほおばりながら不満そうに深江が言う。

「俺が喋ってやるよ!」

ヘラヘラと笑いながら冗談を言う布津をギラリと睨む。

「こわっ」



「晴ちゃんさー、何か悩みでもあったのかな・・・」

カーテンの引かれたベッドの方を見ながら言う深江の目は少し悲しそうだ。

「・・・え?」

「だって昨日、眠れなかったって・・・。
昨日遊んだ時は普通だったのに眠れなくなるような悩みでもあるんじゃないの?」

「あ・・・・・・」
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