有明先生と瑞穂さん
「ねえ・・・もうやめない?」
5限目が始まる前に教室に戻ってきた深江に、有馬は言った。
「どうして?」
キョトンとした顔で聞き返す。
「晴子、寂しいみたいよ」
深江が瑞穂の方を見ると普段と変わらぬ後姿。
「じゃあ作戦成功ってこと?!」
「いや、そうじゃなくて」
「?」
「あの子って最近ウチらと仲良くなるまで、特別仲いい子っていなかったじゃない?」
「・・・そういえば」
「だから、布津と深江が離れちゃったのが寂しいみたい」
深江が眉を下げる。
「晴ちゃん全然態度に出ないからわかんなかった・・・」
「あの子あんまり感情表に出さないじゃない。
でもさ・・・最近はよくうちらには正直に表情に出すと思わない?
それだけ慕われてるんだよ、ウチら」
深江はうつむく。
「だからさ・・・・・・」
「でもだめなの!!」
「深江・・・?」
深江は眉をしかめる。
「晴ちゃんは・・・私達にはこうやって特別に思ってくれてるけど、布津君に対する気持ちがあんまりだと思うの」