有明先生と瑞穂さん
「…っごめんなさい、何でもないです!」


瑞穂は顔を伏せ有明の横を走り去った。

「瑞穂さん!」


(…泣いてた?)


有明の胸がざわつく。






有明先生は関係ないのに、突然あんなことを言ってしまった――。



逃げるようにがむしゃらに走るといつの間にかグラウンドへ出ていた。


まだ外は明るい。


(私…何やってんだろ)


ため息をついて校舎の壁に背をもたれると近くから生徒の声がガヤガヤと聞こえ、慌てて身を隠す。


声のする方を見ると丁度休憩になったバスケ部が体育館から外に出て水道のところへ集まっていた。
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