有明先生と瑞穂さん
「おーいそろそろ休憩終わりー」

体育館内から先輩が顔を出して言うと全員が元気よく「ハイ!」と挨拶をした。


「・・・・」

「おい布津、行くぞ」

同級生が声をかけるが返事をしない。

「・・・布津?」


「ごめん!!俺ちょっと用事できたから帰るっつっといて!」


友人を振り切って布津は走り出した。


「オイまたかよ?!
おまえまた怒られるぞー」


走る布津に友人が大声で忠告するが、布津は振向かずに真っ直ぐ走った。



(瑞穂、泣いてた・・・)

(あんなに泣いてた・・・)



(まるであの時みたいに・・・!)




瑞穂が一度だけ見せた涙。

背中合わせで感じた悲しみ。


初めて『好きだ』と実感した
初めて『守りたい』と思った



昔の記憶―――。
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