有明先生と瑞穂さん
瑞穂は誰もいない中庭にいた。

手入れのされていない中庭は木も草も生えっぱなしで薄暗く、誰も来ない。

その端っこの木の陰に瑞穂はしゃがみこんでいた。


顔も髪も制服もぐしゃぐしゃだ。


(…こんなに泣いたのはいつぶりだろう)


近頃何だか涙もろくなった。
どうしてだろう。


(あんな影からこっそり見てボロボロ泣いてるの見たら布津もドン引きだよね…)



そう思うのに涙が止まらない。


瑞穂は一人でひっそりと嗚咽を漏らした。





怖い、怖い、怖い



誰かから嫌われるのは嫌だ――。





布津から嫌われるのは、もっと嫌だ。



「布津・・・」


「瑞穂!」




小さく名前を呼ぶとまるでそれに答えるかの様に目の前に本人が現れた。


瑞穂は驚き目を見開く。
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