有明先生と瑞穂さん
「布津は悪くない・・・!」

弱弱しく頭を振ると布津が驚いたように目を見開いた。


「近くには布津がいて当たり前だと思ってた」

「布津の存在がこんなに大きいなんて、わからなかった」

「昔から布津にはずっと救われてたのに」

「布津がいなきゃ、一人なんて耐えられなかった」

「布津がいなきゃ有馬さんとも結ちゃんとも仲良くなれなかった」


「なのに私は何も返せてない」



「布津に嫌われたって仕方ない・・・!」



途切れ途切れに言う言葉を布津は黙ってしっかり聞いていた。


言いながら、布津の顔が見れない。

見るのが怖い。


「瑞穂」

「・・・」

呼ばれても顔が上げられない。



「おい、バカ瑞穂」

「・・・・」

ようやく、恐る恐ると顔を上げる。
< 321 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop