有明先生と瑞穂さん
瑞穂は先生の頬に指を当てる。

「なに?」

「泣いているのかと思って」

「・・・泣いてるのはそっちじゃん」

「泣いてないもん」

目と顔は真っ赤なくせに、目の前で嗚咽を上げて泣いてたくせに平気で嘘をつく。


先生はいつもの表情に戻った気がした。


「怖がらせてごめんね・・・」

瑞穂は首を振る。

「思ってたより俺は独占欲とか嫉妬心ってモノが強いみたいだ・・・」

頬に触れた瑞穂の手に自分の手をそっと重ねる。


「最初は君に気持ちを伝えたらそれでいいと思ってたのに・・・。
最終的に決めるのは君だからって。

でも実際は駄目だった。
君が彼を選んだと知った時自分でも信じられないくらい汚い感情とかいろんなものが湧き出てきた。

今までこんな気持ちなったこともなかったのに・・・」


「選んだ・・・?」


学校の中庭でのことが瑞穂の頭をよぎった。


(そうか、先生・・・)


瑞穂が困った顔をして笑うと先生は不思議そうな顔をした。


「あの日のこと、先生にどう言っていいかわからなかったんです・・・」

頬から手を離して先生の手をぎゅっと握った。
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