有明先生と瑞穂さん
(えええええーっ)

思わぬ状況に混乱する。


有明先生はぐっすり眠ってるようだ。
後ろでゆっくりとした寝息が聞こえる。


ひとまず心を落ち着かせ、しっかり抱きしめられた腕を先生を起こさないようにゆっくりとほどいた。

ぎゅっと力を入れていたのに意外にも腕は簡単にどけられ、瑞穂はそこから脱出する。

あたりをキョロキョロと見回し、ベッドの上の時計に気づいて時間を確認した。


(うわっ…1時?!)


とっくに夜中だ…。

親がいないとはいえ予定外の門限破りに冷や汗が出る。

(どっ、どうしよう…。
とりあえず帰らなきゃ…)


そう思ったがこんな時間――。

同じマンションとは言え夜中に一人で歩いて帰るのは少し怖い。


それに自分がここを出てしまったらこの部屋の鍵が開けっ放しになってしまう。

それは無用心だ・・・。


先生を起こして帰ればいいのだろうがせっかく眠っているところを起こすのもなんだか悪い。



まだ少し寝ぼけた頭で「う~ん」とひたすら考えたがいい案が浮かばない。


瑞穂はひとつ大きくため息をついた。



「・・・もう、いっか」



そのままボスンとベッドに寝転んだ。
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