有明先生と瑞穂さん
「でも先生、見えないんじゃ・・・」

「そんなに悪いわけじゃないけど・・・運転はできないくらいかな。
前は運転する時だけかけてたくらいだし・・・。
 
でも月曜から仕事だから今日か明日にでも買いに行かないとね」


きっと先生も驚いてるはずなのに、瑞穂に罪悪感を持たせないために穏やかに笑う。


「・・・ゴメンナサイ」


それでも瑞穂は落ち込んだ。




「気にしなくていいから、顔でも先に洗っておいで。
歯ブラシは買い置きがあるのを使っていいから」

促されるままに洗面所へ向かう。

その間に有明先生は居間を片付けた。


ふと廊下を歩いていると玄関に何か袋が落ちている。

拾い上げてみると中に食べ物や飲み物が入っている。

それはすぐに、昨日強引に手を引いて部屋に上げた時に落としたものだとわかった。


(そうか・・・昨日これを持ってきてくれたのか)


申し訳ない気持ちで一杯になったが、あまり態度に出しては逆に瑞穂に気を遣わせてしまう。
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