有明先生と瑞穂さん
「俺、加津佐の彼女の手作りって結構苦手なんだよねー」

と言いながらフタを開ける。

瑞穂はそれを覗き込みながらも「そんなこと言っちゃ駄目ですよ」なんて言っていたのだが――・・・


「あ、アレ?なんか・・・赤い」


開いた容器に詰まった真っ赤な何か。


「え・・・ていうかコレ、キムチ?」


広がるニオイも辛々しい。



「いや・・・多分野菜炒めか何か」

「・・・・」


どう見てもキムチ。百歩譲って豚キムチである。

キムチは好きだが朝からこれはちとキツイな・・・と瑞穂も思った。



「何でか彼女が作ると全部こうなるんだ・・・」


・・・なるほど。


ひとまずそのままテーブルに並べて、一緒に持ってきてあったらしい白飯を温めて茶碗に盛って二人は「いただきます」をした。


(いや、もしかしたら見た目ほど辛くはないかも・・・)

ありえない期待を元にひとまず控えめに一口・・・







慌てて流し込んだブラックコーヒーがなぜか甘く感じた。
< 408 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop