有明先生と瑞穂さん
料理なんて本当にしない。
親が共働きで帰りが遅いから、帰ってくるまでにご飯を炊いておいて、帰ってきたら一緒に準備を手伝うが瑞穂自身は皿を並べたりとかちょっとしたものだ。

更に料理ができないのにそもそも料理をしないこの家には材料がほとんどない。


使えそうなものは学校に来た献血でもらったという卵くらいなものだ。

あとは自分が持って来た食べ物くらい・・・。


「うーん・・・うーん・・・」

「どう?できそう?」

「とりあえずー」

「とりあえず?」

「・・・全部ぶっこんでみます!」


「えっ」



有明先生の少しだけ不安そうな反応をよそに味見をしながら、あーでもないこーでもないと手を加えながら手当たり次第混ぜ合わせ、煮込むこと数分。



「できたーーー」


瑞穂の暢気な声があがった。





瑞穂のことを好きな有明だが正直不安だった・・・。


瑞穂の料理は食べたい・・・が、さっきの言葉が不安だ。

どんなにまずくても食べたいとは思う。

だが時に女の料理への挑戦というものは兵器へ値するものを作り出すことを有明は知っている・・・。



「なんかー、おじやになっちゃったんですけど」

えへへと笑いながらテーブルへ運んでくる瑞穂を見て覚悟を決める。
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