有明先生と瑞穂さん
いつも通いなれた道――

でも隣には有明先生。


今二人は電車の中にいる。



眼鏡のない有明先生は運転ができないので電車に乗って街へ向かう。

瑞穂の通学コースなだけに、誰かに会わないかと冷や冷やしたが電車も空いているしどうやら今のところ大丈夫のようだ。

それでも車内であたりをキョロキョロ見回す瑞穂を苦笑しながら有明はなだめた。


「大丈夫だよ瑞穂さん。
俺私服だし、眼鏡もしてないし。
もし誰かいてもすぐに俺だってわからないって」

「うー・・・そう言いますけどー・・・」


「電車なんて久しぶりだなー。
俺実家はこっちじゃないからこの電車は乗らないんだけど」


有明先生は少し楽しそうだ。
久々の電車ではしゃいでいるのか瑞穂の隣にいるからか・・・どちらかはわからないがいつもと違って少し子供っぽい。

自分のことなのに全く暢気なものだと瑞穂はため息をついた。
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