有明先生と瑞穂さん
「ここだよ」

しばらく歩くと眼鏡屋についた。
瑞穂は眼鏡屋ももちろん入ったことがないのでなんだか高そうなイメージに少し緊張する。


たじろぐ瑞穂をよそに有明先生は慣れたように店員に壊れた眼鏡を見せていた。


「やっぱり修理するより買った方がいいみたい」

「そうですか・・・ごめんなさい」

「俺が悪いんだから、謝っちゃ駄目だって」

「でも・・・」

「じゃあさ、一緒に眼鏡選んでくれる?」


眼鏡を壊したのは自分なのに、そんな自分に気を遣ってくれてることが申し訳ない。

それでもこれ以上何度も謝っていては話がループするだけだと思い、黙って頷いた。



「でも私眼鏡とかよくわかんないんですけど」

「そうだなー・・・。
俺フレームがあるやつあんまり似合わないから、ないのを選んでよ」


そう言われて店内を見回すといろんな眼鏡があることに気づいた。


(へぇー・・・。
眼鏡なんてどれも似たものだと思ってたけどいろんなフレームがあるんだな)


今まで先生がしていたようなフレーム無しのものから太めの派手な色がついたフレームまで。
レンズのサイズも丸や四角や様々だ。


「あはっ、こんなのもある」


思わず見つけた派手な眼鏡を手に取り自分で掛けてみる。


近くにあった鏡で見てみるとなんだか芸人みたいでおもしろい。


「あははっ」

と、背後で噴出す声が聞こえて慌てて瑞穂は眼鏡を外した。


「みっ、見てたんですか?!」

「いやだって、瑞穂さん楽しそうだったから」

そういえば有明先生の眼鏡を探さないといけないことをいつの間にか忘れていた。
< 420 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop