有明先生と瑞穂さん
後ろでは加津佐が髪に何かつけたり巻いたりいじったり。

前では加津佐の彼女が勝手に顔剃り・眉剃りまでしてメイク。


(ひーーーーーっ!)


されるがままで困惑する瑞穂のかなり後ろでは有明先生がこちらをチラリとも見ずに、優雅に雑誌を読みながらコーヒーをたしなんでいる。






――30分後、満足そうな二人が鏡を自分の前に広げた。


(もう眼鏡出来上がってるよ・・・)


うんざりしながらも向けられた鏡に目を向けると、自分自身の姿に驚いた。


「・・・おぉ」



コテでゆるく巻かれた髪。

オレンジ系でメイクされた顔。



どれも自分でやったのとは大違いだ。



(へー・・・私の目ってここまでいじれたんだ)


鏡をまじまじと見ていると少し嬉しくて顔が緩む。



「あはは、喜んでる」

「晴ちゃんのこーゆートコ、カワイイんだよ」


二人の声でハッと我に返り口元を引き締めた。



「ここまでしてもらっちゃってありがとうございます。
特に加津佐さんはどんな派手な頭にされちゃうのか不安だったんですけど、すごくいいです」


「えぇー?!俺まだ信用ねーの?!」


「まァー、タケルだしね」


「メイクも、私こんなメイクしたことなかったんで勉強になりましたー。
私オレンジ系が合うんですね」


「んふふ、暖色系が似合うわね。
そうそう、私の名前は国見 理紗(クニミ リサ)。
また来るときはこの馬鹿じゃなくて私を指名してね」

そう言いながら瑞穂に自分の名前の入ったお店のカードを出した。

後ろで加津佐が「ズリー!」と文句を言っている。
< 439 / 1,252 >

この作品をシェア

pagetop